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情報更新日

2018年1月31日

シーズ情報

研究課題名

性差を理解する:生殖腺の性差構築と性特異的エピゲノム制御・維持機構の分子基盤の解明

キーワード

性分化、動物分子形態学、精巣、卵巣、環境化学物質、遺伝子発現

分野

アグリ、医薬/医療機器、環境

概要

 生物は地球という環境の中で生活しています。単細胞生物から多細胞生物への進化を遂げた生物たちが,その環境中でどのように立ち回ってきた(いる)のか,有性生殖(性分化機構)の成り立ち,非特異的・特異的生体防御システムやアポトーシスを含めた細胞の生理機能の発現,ならびに環境中の様々な要因が生態系や人間の健康へ及ぼす作用の分子基盤に関するメカニズムを解明したいと考えています。とくにエピジェネティック制御や遺伝子発現制御をもとに,個体発生・系統発生学,性分化機構,環境遺伝子毒性,生体防御機構等を中心に,『マクロ(形態)からミクロ(分子)へ,そしてミクロからマクロへ』を基本姿勢として,電子顕微鏡レベルから遺伝子レベルまでの動物の体の構造と機能との関連について教育と研究を行っています。現在の主要な研究テーマは以下の通りです。

  1. 雄と雌の差は何か
     生物は遺伝的多様性を獲得するために有性生殖という次世代に遺伝情報を受け継ぐシステムを構築しました。いうなれば,種の保存のための基盤が『性の決定・分化』であり,生物の雄・雌が決まる仕組みは極めて重要な個体発生の分化過程あるいは生命活動と考えられます。発生の基本的ミステリーは,1個の受精卵がいかにして増殖し,各動物固有の細胞,組織,器官に分化していくのか,にあります。とくに生殖腺はその形態や機能に唯一『性』依存的差異が認められる器官であり,その発生過程には「性分化」という通常の組織では不要なステップが介在します。この点が生殖腺の分化を複雑にしている反面,研究対象としては 極めて魅力的な素材です。精巣と卵巣とは何が違うのか。生殖腺や脳に性差を与えるものは何か。その答えを得るべく,最近の分子遺伝学的解析データを踏まえ,性の決定と分化機構について各種遺伝子群の相互調節機構と形態形成との関連の解明を推進しています。
  2. 環境化学物質の動物への影響
     環境中に放出・蓄積された残留化学物質による生態系や動物の健康への被害は遺伝子発現にも作用し,その影響は世代を越え,種の保存を脅かす地球規模での重大かつ深刻な問題となっていますが,その分子基盤に関する基礎・応用研究は少なく,これらの危機に面して解決の可能性を追求する分子毒性遺伝学的研究を行っています。

何が新しいか?

 先人たちの積み重ねた形態学の膨大な知見と,昨今急速に明らかになりつつある分子生物学的な知見とを同時に扱い,分子(ゲノム)レベルから生体までを包含する比較生物学を研究手法の中心にそえたアプローチを取っています。これまでの形態機能学,細胞分子遺伝学や実験動物学領域での経験を生かし,染色体,遺伝子解析も行う『分子解剖学』,あるいは『分子形態機能解析学』を標榜しています。

他の研究に対する優位性は何か?

 本研究では、動物での生命現象の解明およびそれに基づく器官・臓器の形成を制御する分子機構に関する基礎研究成果の発信と研究開発拠点の構築を行います。

 具体的には,獣医師としての専門知識・技術を活かし,実際に動物を用いた解析ができるので、他の研究に対して大いに優位性があると考えています。また,これまで培ってきた様々なゲノム情報を駆使した研究を提供できることも強みです。

どのような課題の解決に役立つか?

以下の課題の解決に役立ちます。

  1. 高等動物の種の保存を決定づける有性生殖とその「性の決定・分化機構」における分子細胞遺伝機構の解明
  2. 哺乳動物における器官形成とその制御機構に関する分子形態機能学的研究による生物の発生・分化機構の解明
  3. 雄と雌との間で違いが見られる行動様式、特に性行動の制御を司る脳のメカニズムとその雌雄差、さらには雌雄差を形成する過程の解明
  4. 内分泌攪乱化学物質の次世代生殖器系の分化に関する分子毒性遺伝学的研究による環境中微量化学物質の生殖、免疫および中枢神経系への影響とそのそのメカニズムの解明

他への応用・展開の可能性

生物の「性の決定・分化機構」・「内分泌攪乱物質の生体への影響」に関する多くの基盤的知見を利用した以下の研究

関連する論文

研究者情報

氏名

星 信彦(ホシ ノブヒコ)

所属

農学研究科、応用動物学

専門分野

基礎獣医学・基礎畜産学、動物分子形態学、分子細胞遺伝学、環境健康科学、産婦人科学

リンク

企業との協業に何を期待するか?

 「生物の器官・臓器の形成を制御する分子機構」ならびに「化学物質に対する動物を用いた反応解析」に興味ある製薬・医療産業との共同研究

問合せ先

神戸大学 学術・産業イノベーション創造本部
oacis-sangaku[at]edu.kobe-u.ac.jp
([at]を@に変更してお送りください。)

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